How do you like geography?

しがない一介の地理屋さんが日常で見つけたネタをつづります。GIS成分多め、地形フェチ成分多少。

GIS界の異端児「Google Earth」

このブログできっと延々と登場し続けるであろうGISGoogle Earth

 

世間では、GoogleMapsと混同されて「あの衛星写真のやつでしょ」ぐらいに思われている、Google Earth

 

そのGoogle Earthの魅力(の触りの部分を)この記事ではまとめます。

 

1.Google Earthってなんやねん

Google Earth(グーグルアース)は、Google 社が無料で配布しているバーチャル地球儀ソフト。(Wikipedia「Google Earth」より)

地球儀ということもあり、前回の記事で紹介した「ブラウザとしてのGIS」の一種であるように思えます。

まあそれで良い。

 

筆者の主観と貧弱なボキャブラリーに基づけば、Google Earthは、「ブラウジングに特化したGIS」と言えます。その特徴は以下の通り。

 

2.Google Earthのスゴイトコ

・球面状のベースがデフォルトで用意されている。

 GISを学ぶ上で多くの人たちが躓くであろう「座標系」についてほぼ心配することなく地図が表示されるということ。別の言い方をすると、2次元平面に投影する上で避けることのできない「地図のゆがみ」を避けることができる。

 

衛星写真をはじめとする「Google」が提供する莫大なコンテンツ

いわずもがな。Googleが航測会社などから提供された衛星写真を提供しているほか、Googleが自前で集めている「ストリートビュー」や、ユーザーが投稿した写真・建物の3Dポリゴンなどさまざまなコンテンツが提供されている。

 

・「KML」形式のファイルを表示することができる。

KML…Keyhole Markup Language

XMLGoogle Earth版」とでも言えばよいのか、要するにGoogle Earth専用の地図ファイル形式。

 

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衛星写真だけのGoogle Earthに、突然「地図」が表示される。

 

こいつがGoogle Earthのミソ。

このKMLファイル、実は現在地球上で作成されている地図のデータとしてもっとも多いファイル形式らしい。引用省略。

なにができるかというと、おおよそなんでもできるんだけど

上記画像のように

・地球上に地図を表示させる

・表示させた地図にリンクを貼ってポップアップ表示ができる(Youtubeの動画が再生できたり、Java Scriptも動かせる)

・画面上に画像を貼り付ける

・地球儀を見る視点の位置や角度、さらにはその移動までもがオートで可能

 

これを使えば、Google Earthは動画再生ソフトにもなるし、簡単なゲームだって作れる、とそんな素敵なファイル形式なんです。

 

3.KMLで何ができる?

 前項で述べたように、Google Earthに対応した地図データ「KML」形式は非常に汎用性が高いわけです。

 

もちろん様々に応用ができます。視点の録画再生(ツアー機能という)を活用して企業のプロモーションビデオやプレゼンに用いた例

観光マップに用いよう、という試みもあります。

 

手前味噌ですが学校教材に使おうという試みもあります。

NPO法人伊能社中が提供するKML共有サイト「Open Text Map

 

Googleのすごいところというべきか、

Google Earthが無償提供されていることと、KMLファイルそのものはXMLベースなのでHTMLのようにテキストエディタで編集できるということ、この2つのおかげで「KMLファイルは作成も閲覧も無償」という最強の強みがあります。

 

たとえば、専門家向けのGISソフトウェアで一般的となっているファイル形式にはシェープファイル(SHP)やジオデータベース(GDB)などがありますが、いずれも作成もしくは閲覧にコストがかかる、ひと手間必要などの課題があります。

もちろん専門的な分析や地図の描画能力など、Google Earthでは到底太刀打ちできない面もありますが、差別化は少なくとも図れているわけです。